女のメイクは男の髭剃りと一緒。マナーだよ

投稿者:しらゆり (1991年生まれ/女性/神奈川県在住)

今はもうわたしが結婚してしまったから、実家に行かない限り、弟に会うことはない。
しかし、弟のおかげでわたしは結婚できたんだ、とほんのちょっぴり感じている。

わたしは中高女子校育ちで、大学生になって初めて共学になった。
中高はわりかしお嬢様で進学校の女子校だったため、アルバイトもしたことなければ化粧も髪を染めることもしたことなかった。
そんなわたしにとって毎日クラスに男の子(しかも大人の男の子!小学生男子ではない)がいるのは新鮮で、化粧も髪を染めるのもピアスも開けるのも自由という日々を楽しんでいた。

しかし、初めの2か月くらいはその状況でふわふわしていた(毎日髪型を変えたし、メイクもいろいろ挑戦して楽しかった)が、次第に私自身落ち着いてきたと同時に、いろいろと面倒くさくなってしまったのだ。
髪は染めたものの、毎日可愛く結うのも面倒くさくなったから、基本ポニーテール。
パーマをかけてあったので、ある程度無造作にしていてもゆるふわな雰囲気で許される気がした。

挙句の果てにはメイク。
毎日メイクをばっちりしていくのが面倒くさくなった。
ファンデーションにマスカラ、アイブロウだけになり、そのうちファンデーションにアイブロウだけ、しまいには眉毛さえあればいいか……と日焼け止めとアイブロウだけになる日さえあった。

毎日男の子がいることで、男の子に慣れきってしまったのだ。
好きな男の子もできないし、ということは、可愛く見られたい相手もいない。
誰のために着飾っているのか、さっぱりわからなくなったというのもあった。
だからメイクをだんだんしなくなってしまった。

そんな、ある日。
洗面所でいつものように、洗顔後、日焼け止めを塗っていると、朝のドタバタに紛れて弟がやってきた。
弟は一限から授業があるようで、急ぎつつもしっかり髪をワックスで固めている。
「毎朝、よくちゃんと髪の毛ワックスで綺麗にするね、えらいね」
と感心していうと、弟は、じっとわたしを見た。
「もしかして、その顔で大学行くわけじゃないよね?」
「え? 行くつもりだったけど……メイク面倒なんだもん」
すると、弟ははあ、とため息をついて、こういった。

「女のメイクは男の髭剃りと一緒。マナーだよ」

わたしははっとして黙ってしまった。
弟は「ちゃんとしなよ~」と言いながら髪を整え終わって洗面所から出て行った。

わたしはこの一言から、最低限、メイクや顔の産毛の処理など必ず毎日するようになった。

「女のメイクは男の髭剃りと一緒。」

なんだかメイクが面倒くさくなったら、この一言を思い出して、きちんとした女性になろうといつも思った。

あの言葉から5年後、大学を卒業して就職も無事でき、そして先日、結婚もした。
相手の人にはもちろん素顔を見せている。
それでも彼と結婚できたのは、彼と出会ったときはもちろん普段から、きちんとした女性でありたいという意識で私自身が毎日過ごしていたからだと思っている。

弟にも素敵なお嫁さんが来ることを心から祈っている。

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