命は平等じゃないの?

投稿者:ジャムおばさん (1979年生まれ/女性/宮崎県在住)

ある晩の夕食時、当時8歳だった娘がなかなか食事に集中してくれませんでした。
その日のメニューは娘の大好きな鳥の唐揚げだったのですが、味付けを変えたのが気に入らないらしく、テレビを見たりツンツンつついたりして、なかなか食べてくれませんでした。

「Mちゃん!!食べ物を粗末にしちゃだめ!!ニワトリさんに感謝して集中してちゃんと食べなさい!!」
「なんでニワトリさんに感謝なの?」
「ニワトリさんは生き物でしょ?でもパパやMちゃんが生きていくために食べさせてもらってるんだから感謝しないとバチがあたるよ」

ありきたりな答えかもしれませんが、食べ物の大切さや感謝の気持ちを教えるためには一番わかりやすいだろうという思いで、こう答えました。
しかし、ここで予想もしなかった娘の逆襲にあいます…。

「ニワトリさんを食べるために殺すのかわいそう。命は平等じゃないの?」

私は、一瞬、言葉を失いました。
まず、8歳の子供から命が平等という言葉がでてきた驚きと、命は大切で平等ということを伝えたい気持ちと、ニワトリを食べるために殺しているという矛盾を、どう説明するのがいいか分からなかったからです。

「どんな命も大切だよ。でも、生きていくためには仕方がないことなんだよ。」
答えになってないことは明確でしたが、こう言うしかありませんでした。
娘は「なんで?」と、しつこく聞いてきましたが、仕方がないということを押し通すしかありませんでした…。
子供にとって、なんと答えるのが一番よかったのか…、今でも考えさせられます。 

命は平等か?
大人としての、あくまで私個人の意見は、命は平等ではないと考えます。
平等と思えるのは人間社会の話であって、すべての生物には当てはまらず、やはり弱肉強食の世界であるからです。
人間社会にはルールがあり、当たり前のことですが人間の立場から作られたルールです。
ですので、人を殺すと罰せられますが、昆虫や鳥、牛や豚等、他の生物を殺しても罪にはなりません。
(家畜、ペット等、人が関わっているものや例外はありますが)

ただ、その考えを8歳の子供にそのまま話していいものか?
命は大切で尊いものである、という事をまず教えることが先決なのは分かっているのですが…、子供の成長を考えると、命は平等と押し通すのが良いのか…、今でも明確な答えは出ていません。

今現在、娘は中学2年生になりました。
当時の事を話しても、全く覚えていないようです。
娘にとっては深い意味はなく、単に不思議に思ったから聞いただけだったのでしょう。
しかし、親の私には子育ての難しさを実感させられた言葉として今でもハッキリと覚えています。
忘れようにも忘れられない言葉になっているのです。

中学生になった娘に逆に聞いてみました。
「命って平等だと思う?」
「さあ?平等なんじゃない?」
なんとも拍子抜けな返答です。笑
まだまだ、これからも娘に振り回されそうです。

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