ニキビは青春の証だ。出来ている奴は勲章になる。

投稿者:ちゃむず (1989年生まれ/女性/東京都在住)

学生時代の剣道のコーチの一言でした。
当時、私の顔にはニキビがとてもたくさんありました。
周りにはニキビがある女の子は一人もいなく、男の子でも数人ある程度。
当然、鏡を見るのも嫌で、ニキビ顔を隠すようにしていました。
写真を撮られる事に抵抗もあり、自然と写真を撮る側になったり、顔を手で隠すようになりました。
部活が剣道部で防具を着けている間はニキビ顔を見られなく済むので稽古に励む日々でした。

そんな中、ある男の部員の一言で部活にも行きにくい状態になりました。
「何で、お前の顔、そんなブツブツできてんの?すげぇな、お前だけじゃね?」
当時を思えは、周りにニキビというものが出来ている人がいなかったこと、ニキビ自体知らない人が多かったからだと思います。
悪気があるわけでもなく、単なる疑問だったんです。
ですが、当時の私にとっては心に突き刺さる言葉でした。

家族にも相談し、あまりの酷さに病院まで行くほどのニキビ。
治したくても治らない、一時的なものだとわかっていても、どうしても気持ちが追いつきません。
そんな時の一撃ともなる一言。
稽古中にも関わらず、泣き出してしまいました。

周りの人は当然、心配して、どうしたの?どうしたの?と聞いてきます。
ですが、その理由さえも答えたくありません。
ニキビという言葉を出したくないし、なにより顔を見られたくなかったんです。

その日はコーチも来ている日でした。
コーチと言っても、70歳を超えるおじいちゃん先生です。
コーチに呼ばれ、座っているコーチの元へ行きました。
コーチにもどうした?と聞かれ、ニキビ顔の事を話しました。

男子部員が悪いことは何一つなく、ただただ、このニキビ顔が嫌なのだ。
どうして私だけこんな酷くなるのだ。
泣きながら話しました。

話終わって、私も気持ちが落ち着き、稽古も終わりそうだった時にコーチが皆を集めました。
横1列に座り、私は最後尾に座りました。
コーチが皆の前に立ち、話始めました。

「お前達、ニキビってあるな。知ってるか?
昔も出来る奴、出来ない奴がいた。
俺も顔にポツポツ出来てたな。
今は出来る奴が少ないみたいだから、珍しいよな。
ただな、それで悩んでる奴もいる。見られたくない奴もいる。
ニキビは青春の証だ。
出来ている奴は勲章になる。
青春してるってことなんだよ、そいつは。
だけど、それを言ったらダメなんだよ。
そいつは気にしてんだからな。
だから、青春してるって思えば気も楽になるだろうし、今しか出来ないんだって。
そういうもんだ。
ブツブツだろうが、出来た奴は胸張ってろ。出来てない奴はそっとしてやれ。
以上お疲れ」

コーチの言葉でまた泣きました。
でもスーッと気持ちが楽になりました。

青春してる、今しか出来ない。
そう思えることで鏡を見ることも以前より嫌にならなくなりました。

昔の写真を見ると確かにニキビ顔が酷いですが、コーチの一言があったからこそ、ニキビでもいいんだと思えた思い出でした。

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