1人の寂しさを知っている人は他人に優しくなれる

投稿者:のんのん (1998年生まれ/女性/岩手県在住)

私が高校生の頃、2歳年上の先輩に言われた一言です。
当時、私は同学年からいじめにあっていました。
死ね、クズ、消えろなどの言葉の暴力、朝学校へ行くと椅子の上に画鋲が貼り付けられていたり、教科書が無くなることは日常茶飯事でした。

いじめられるようになったきっかけをはっきりと見つけ出すことはできませんでした。
ある日、根も葉もない噂話が出始め、徐々にクラスの中で無視されるようになり、その行動が学年全体にまで広がりました。
私は学校へ行きたくないという思いをいつも抱えていました。
しかし、負けず嫌いだった私は学校を休むということはいじめてる人たちに負けるような気がし、絶対にしたくなかったので、毎日学校へは行っていました。

文化祭の準備が始まるようになったある日のことでした。
当時茶道部に所属していた私はお茶会の会場作りを1人で行なっていました。
その時、元茶道部で引退した3年生の先輩がやってきました。
先輩とはあまり話したことがありませんでしたが、いつも後輩に声をかけてくださる方でした。

先輩は1人でお茶会の会場作りをしている私を見て、どうして1人なの?と聞きました。
私は会場作り担当は私だけと聞いていました。
しかし、先輩の話によると毎年お茶会の会場作りは部員全員で行なっていたそうなのです。
私はその話を聞き、今まで心の中に閉じ込めていた悲しみや怒りの感情が溢れました。

学校では誰にもいじめられている話や、辛いなどの弱音を吐いたことがなかった私ですが、先輩に全てを話しました。
学年での話、部活動での話。先輩は最後まで静かに私の話を聞いてくれました。
今思うと先輩の持つ独特の優しく周りの人を包み込むような雰囲気が私の凍った心を溶かし、救ってくれたのだと思います。
先輩は私の話を聞き、辛かったねと優しく声をかけてくれました。
その日を機に、先輩は毎日私を気にかけて話しかけてくれるようになりました。

ある日の昼休み。
私は教室の片隅で1人お弁当を食べていました。
私の周りには「1人で弁当なんて寂しいやつ」「クズの飯はゴミクズ」などと書かれた貼り紙が貼ってありました。
その日も先輩が私の教室にやってきて、私を励ましてくれました。

その時私は先輩に、先輩がいてくれるだけで、今は救われてますが、教室ではずっと1人で寂しいです、もう疲れましたと言いました。
先輩は私のその言葉を聞いて、今は辛くても1人の寂しさを知っている人は他人に優しくなれるから自分を信じてと言われました。
その言葉を聞いて、私は涙が溢れました。

その後は先輩の言葉を胸に、前を向いて生活することができるようになりました。
今でも先輩には頭が上がりません。
私はあの時の先輩の言葉で救われ、今こうして生きているとすら思います。

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