可愛い子は馬鹿でもいいの。誰かが守ってくれるから。だからあなたはしっかり勉強しなさい。

投稿者:あんり (1989年生まれ/女性/神奈川県在住)

忘れもしません。
これは私が大学生の時に母から言われた言葉です。

私の家は貧しくはありませんでしたが、特別裕福というわけでもありませんでした。
ごくごく普通の家庭だったと思います。
それなのに、小さい頃から習い事や自由参加の学校行事に参加させてもらい、とてもお金のかかる子供であったと思います。
そのため、母が内職やパートなどを掛け持ちして家計を陰で支えてくれていました。
高校生になると予備校に通い、夜遅くなると迎えにも来てもらいずっと応援してくれていたのに、大学受験ではことごとく失敗。
母の涙を見たのは後にも先にもこの時しかありません。

大学に入学してから私は人生初めてのアルバイトを始めました。
重労働の割に自給は安く、お金を稼ぐことの大変さを身に染みて感じました。
その頃だったと思います。
毎日家事を完璧にこなし、その中でいくつもの仕事を掛け持ちして日々の生活を送ることがどれだけ大変なことかを強く実感し、母に感謝するようになりました。

大学生活も落ち着いてきたある日のこと、両親が離婚しました。
私は母と生活することになり、母はさらに仕事を増やしました。
生活していくため、将来のため私もやっと先のことを考え始めました。
当時、就職氷河期まっただ中、ありきたりな大学生で資格も手に職もない私は不安で仕方ありませんでした。
何かしなくてはいけない、でも何をすれば良いのかわからない。
そんな時、一冊のパンフレットを渡されました。
某資格予備校の授業の紹介が書かれていました。
私は早速、面談を申込み、興味のあった内容の詳しい説明を受けに行きました。
働きながらの資格勉強は難しいかもしれません。
でも時間に余裕のある大学生ならなんとかなるかもしれない。
挑戦してみたいと思いました。
しかし、問題は学費です。
大学に通うのと同時に予備校に通う状態いわゆるダブルスクールは当たり前ですが、お金がかかります。
アルバイトの貯金を使ってもまだ足りません。
散々悩みましたが、私は母に相談しました。
その時に言われたのが最初の言葉です。

自分の身は自分で守れるようにならなくてはならない。
母の言葉どおり、その一心で勉強しました。
いま私は、その業界で働いていて、充実した毎日を送っています。
母には感謝しきれません。
今思うと、娘にかける言葉としてもう少し言葉を選んでほしかったような気もしますが、それも今となっては笑い話です。

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