世界中探したって先輩という人は1人しかいないんだから、人と違ったっていいじゃないですか。

投稿者:りいな (1978年生まれ/女性/大阪府在住)

高校生の頃、私は壁にぶつかっていました。
吹奏楽部に所属していたのですが、うまく部員たちと馴染めていなかったのです。
当時は親とも折り合いが悪く、家庭でも部活でも居場所のなかった私は、自分を見失っている状態でした。
マイペースであまり協調性が無い事を自覚していた私は、憧れの吹奏楽部に入るに当たって、決して目立ってはいけない、周囲に合わせなければならないと固く思い込んでいました。
それが処世術であり、部員達に溶け込むために必要だと信じていたのです。

でも現実には会話の輪に入れなかったり、面倒な役割を押しつけられたりと、徐々に軽んじられるようになっていきました。
部活が楽しくないという思いが段々と心を占領するようになっていき、私はただひたすら我慢していました。
楽器がしたくて吹奏楽部に入ったのですが、やはり楽器さえできれば楽しいという訳ではありません。
けれども解決策も考えつかず、やめる勇気もなく、練習に没頭する事で現実逃避していました。

その状態が半年続いた頃、私の心は限界を迎えようとしていました。
見て見ぬフリをしても、今の状態が辛いということは間違いのない現実で、ただひたすら我慢をすれば解決するというものではなかったのです。

いつも同じ方向へ帰る部活の後輩に、思わず本音を漏らしました。
「自分は親とも仲良くできない、部活でもうまく皆に混じれていない。自分のようにダメな人間は他にはいないと思う。」
そんな事を言いながら泣いてしまいました。
普段は心の奥を人には語らない私ですが、この後輩が人の心を開かせる不思議なタイプで、話しているうちにポロっと言ってしまったのです。

すると後輩が次のような事を言いました。
「世界中探したって先輩という人は1人しかいないんだから、人と違ったっていいじゃないですか。好きなように生きないと損じゃないですか。」
その時に心の中の何かが溶けたような気がしました。

そこから私は少しずつ吹っ切れたように、自分の気持ちを周囲に話すようになったのです。
部活でも、私はこういう演奏がしたい、部活がこうなればいいと思っている、など発言するようになりました。
そうすると不思議な事に、私の演奏を聞いて褒めてくれる人や、話しかけてくれる人が出てきました。
嫌われるのが怖くて自分を抑圧していたけれども、周囲の目には何を考えているか分からない人間と映っていたのでしょう。

自己主張をする事で人に受け入れられるなんて、今まで思ってもいなかった事でした。
振り返ってみると、親との折り合いが悪かった私は、自己主張をすると人を傷つけ、嫌われるのだという思い込みがあったのだと思います。
私の母親は私が自己主張をするとヒステリックに怒るような人でしたので。

また自己主張の大事さを知ると共に、私を気にかけてくれる人の有難さを知り、以前よりも周りの人をよく見るようになりました。
悩んでいた時は自分の事で精一杯で、周囲が全く見えていなかったと思います。
それが余計に周囲との溝を作っていたのでしょう。

あれ以来、大学でも、仕事でも、行き詰まった時には後輩の言葉を思い出すようにしています。
自分は何がしたいのか、自分はどう思っているのか。
自分を中心に自分らしく生きるという事を教えてもらった言葉です。

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