ナミに性格悪いって言われたら誰に言われるよりショックかも

投稿者:ナミ (1986年生まれ/女性/岡山県在住)

私にこの言葉をくれたのは、高校時代のクラスメイトの女性Aです。
私たちは、Aともう一人の友人Bの3人でいつも一緒に行動していました。
友人Bと私は幼稚園からの付き合いでしたが、Aとはその年に同じクラスになったばかり。
半年ほど一緒に過ごした後、ふいに彼女がこの言葉を言ってくれたのです。

何か特別な話をしていたときのことではありませんでした。
試験前か何かで部活動は休みになっていて、だからといってすぐに下校することもなく、放課後3人でジュースを飲みながら喋っていました。
Aはそのとき初めての彼氏ができたばかりで、Bと私はAのノロケ話を聞いていましたが、
「彼氏は欲しいけど、私にはできる気がしない」
と私は言いました。

当時は自分にすごく自信がなかったからです。
容姿に優れているともいえない。
頭が良かったり運動ができたり、何か得意なことがあるわけでもない。
大学には行きたいなとは思っていたので受験勉強はがんばっていましたが、夢に向かって必死の努力をしているというわけでもありません。
そんな私を好きだと言ってくれる人なんているわけがないと考えていました。

こういうことを口に出すと、高校生ぐらいの年頃の女子なら大抵「そんなことないよ!◯◯は可愛いから大丈夫だって~!」というような会話につながるんですよね。
私もこのときはそうなると予想していました。
だけどAの口から出たのは、
「私、ナミに性格悪いって言われたら誰に言われるよりショックかも」
という言葉。
「だってナミって絶対に他人の悪口は言わないよね。
クラスで距離置かれてるような人でも、嫌な先生でも。
ナミが人を悪く言うのなんて聞いたことないもん」
だから私の良いところをわかってくれるような人は必ず現れるはず。
Aはきっとそう続けるつもりで言ってくれたんでしょう。

他人の悪口を言わない。
それは決して意識していたわけではありませんでした。
ただ、みんなが陰口を言うような人にでもいいところは絶対にあったし、ちょっと変な雰囲気の人も私にはなんだかおもしろい人だと映っていただけのことだったんです。
でもそれほど付き合いの長くないAがそんな風に私をみてくれていたことは、とても嬉しく思いました。

それから成長する中で、他人に対して嫌な感情を抱いたことは数えきれないほどにあります。
だけど、それを汚い言葉で表現しようと思うと必ず、このときのAとの会話が思い出されるようになりました。
30歳になった今では、他人の悪口を言ったことがないとは口が裂けても言えません。
だけど、あのときのAの言葉を裏切るような人にだけはなりたくないと、できるだけの努力はできているのではないかと思っています。

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