自信を持ったら超一流になれるんだけどなぁ。

投稿者:はち (1979年生まれ/女性/福島県在住)

高校3年の頃、大学受験を控えていた私はその時患っていたアトピーがひどく痒みと痛みで思うように勉強が出来ず焦りを感じていました。
指の湿疹で手もガーゼでぐるぐる巻き、ペンも持てない程でそんな姿をクラスメイトに見られるのが次第に苦痛になり学校も休みがちになりました。

晩秋の頃の放課後、宿題のレポートを渡しに職員室へ行った時。
そんな私を見かねてか、当時担任をしてくれていた先生が私にある有名私立大学の過去問題を渡し、制限時間は関係なく今すぐに解いてみるように仰ってくれました。

教室に戻り私は言われるがまま問題を解き始めましたが、ペンをやっと持つ事ができるのを知っているのに面倒な事をさせるな、と内心あまり面白くはありませんでした。
ですが勉強が嫌いではなかったので、放課後の静かな環境も手伝い、問題に真剣に向き合う事が出来てそれまで感じた事のない清々しさと楽しさまで感じました。

一通り解き終え、時計を見ると目安の制限時間より少し遅くなった位で解く事が出来、先生の待っている職員室に戻りました。
私の姿を見つけた先生は『来たか!』というような顔をして、添削を終えるまで待っているように私に指示し、持ってきた答案用紙を鼻歌まじりで添削してくださいました。

待っている数分間の長い事。
添削し終えた先生は重いため息をひとつつきました。
『私、そんなにひどい点数なの。』
脳裏にそんな言葉がよぎりました。
しかし先生は思いもよらない言葉を私に言いました。
『この大学でも8割強点数とってるんだからなぁ。
何で自信を持たないかなぁ、はちは自信を持ったら超一流になれるんだけどなぁ。』

その言葉を聞いた時、何故だか知らないけれど号泣しそうになったので、訳のわからない軽い悪態をついて誰もいない教室に戻り泣きながら帰るしたくをして感情の整理をしました。
私は一人で病気と大学受験を闘っていると思ってました。
けれど近くに私を評価していてくれていた人がいた事に嬉しさや驚き、感謝でいっぱいになった涙だったのだと気づきました。

大学受験は事情があり受ける事ができなかったのですが、現在も辛い時、苦しい時、この言葉を思い出し励まされています。

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