卒業するまでに一緒に10枚写真を撮ろう
投稿者:ソーコ (1979年生まれ/女性/香川県在住)
第一志望の高校に入学できた、私。
毎日頑張って学校に行こうと思っていました。
しかし、人見知りの激しい私は、なかなかクラスメートと馴染むことができませんでした。
中学から頑張っていたコーラス部に入り、部活動に頑張ろうと意気込んでいたものの、部活動の先生とは、なぜか対立するばかり。
友達は数人いましたが全員クラスが違っていて、全然楽しくない高校生活をおくっていました。
高校2年になり、自分の好きな科目しか勉強をしなくなりました。
英語が好きで、英語の統一模試は高得点を取れましたが、他は惨敗。悲惨な状態でした。
大学には行かずに就職をするつもりでしたが、さすがに欠点近くの点数を取ってばかりの自分に嫌気がさしていました。
よし、頑張ろう!と一念発起して、テストで高得点を狙い学年でも上位に入ってやる!と努力をしました。

よし、今回のテストはどれも頑張れた!と思っていましたが、地理は欠点ギリギリでした。
悔しいと思い、テスト毎に地理を頑張りましたが、全然点数が上がりませんでした。
高校3年になり、私の心にずっと残る先生と出会いました。
その先生は地理担当、男性。
当時、30代前半くらいで既婚者。
確か、小さいお子さんがいたと思います。
初めてその先生を見た瞬間に、「わぁ、かっこいいし、優しそうな先生だな」と感じました。
授業中、先生のことが気になって気になって、全然集中できませんでした。
ただでさえ、地理のテストの点数が悪いのに、これ以上悪くなったら欠点、追試だと思いました。
でも、追試で先生と放課後に会えるなら、嬉しいかな、なんて馬鹿な考えもしていました。
しかし、両親のことも考えて、追試は逃れたい!!と思い直しました。
高校3年1学期の期末テスト、地理のテストは欠点。
ついにきた。欠点。
でもどうしよう・・・と不安になっていました。
「職員室に来なさい」と先生に言われました。
ふ、二人で話をするの?!
緊張する。ドキドキする。逃げ出したい!
と頭も心も無茶苦茶になってしまいました。
職員室へ行くと、先生が笑いながら言いました。
「大丈夫、欠点だけど、今回はオマケね」と。
なに?!オマケ?
オマケっていいの?
テストにオマケなんていいの?
・・・と思わず笑ってしまいました、私。
他教科のテスト点数や授業態度を聞いての判断だったそうです。
「ありがとうございました。」と一礼し、職員室を後にしました。
高校3年になり高校時代最後の思い出を残していくため、私は使い捨てのカメラで写真を撮ることが好きでした。
私の高校時代は、今の様に高校生が携帯電話を持っていることは稀でした。
いつもの通り、友達と3人でカメラを手に放課後の学校でパシャリ。
その時、渡り廊下で地理の先生と会いました。
駄目でもともと、「写真を一緒に撮っていいですか?!」と先生に言いました。
「いいよ」と笑顔。
ほんとに?!わー嘘でしょ!!と高まる鼓動を感じながら一緒に写真を撮りました。
「嬉しい。ありがとうございました。」とお礼を言いました。
次の瞬間、先生が
「卒業するまでに一緒に10枚写真を撮ろう」
と言ってくれました。
先生は何の気なしに言った言葉かもしれません。
しかし、その言葉は私の心の支えになりました。
嫌なこともあったけれど、高校3年生になった。最後まで頑張って卒業しようと思えました。
家庭の事情で授業料を滞納することもありました。
進学校でしたから、学生はほとんど大学へ進学を希望していました。
私は就職希望。
疎外感があり、正直辛かった高校生活。
しかし、先生の一言で、今まで頑張ってきてよかった、私みたいな生徒でも応援してくれる人が居るのだと思いました。
高校生活を最後まで頑張ろうと思えました。
その日から高校生活の毎日が楽しかったです。
先生とは卒業するまでに、10枚と言わずたくさんの写真を撮ってしまいました。
そして卒業式には、たくさんの先生方と笑顔の写真が撮れました。
地理の先生とも、もちろん私がとびきり笑顔な写真が撮れました。
先生、私はあの一言で救われました。
ありがとうございました。