一生懸命やっていない奴にスランプは訪れないよ。
投稿者:ここはる (1980年生まれ/女性/神奈川県在住)
当時、私は高校3年生でした。
私の通っていた高校は県内でも有数の進学校で、高校3年にもなると皆が受験モード一色になります。
通常の授業が終わった後も教室に残って自習していく生徒はたくさんいましたし、進路相談室はいつも受験情報を得るための人で一杯でした。
もちろん私も例外ではなく、放課後や休日も予備校に通って受験勉強に励んでいた1人です。
友だちと受験に対しての不安や悩みを分かち合ういっぽうで、どこかでその友だちさえもライバルになるのだという孤独も感じながら、受験という高校生活の一大イベントの中に身を置いていました。

やはり受験勉強は思うように進まないものです。
学校が長期の休みになる夏が勝負だ、なんてよく言われていましたが、夏休みに入る頃の私はボロボロでした。
学校でも家でも予備校でも、机に向かっているはずなのに、思うように知識が頭に入っていかないのです。
時間ばかりがどんどん過ぎていく感じで、焦りばかりが募ります。
そんな状態で受けた全国模試の結果は最悪で、自分が志望する大学の合格判定が軒並み悪いものでした。
私は落ち込み、受験勉強もさらに気持ちが入らなくなってしまいました。
みんな頑張っている夏休みなのに、私は何をしているのだろうと、途方に暮れていたのです。
夏休みでもうちの高校は校舎を開放していて、受験勉強の自習に使って良いことになっています。
ある日、私は家でも予備校の自習室でも勉強がはかどらなかったので、高校に足を運びました。
そこでは夏休み部活動に汗を流す後輩たちの姿があり、私はその眩しい光景をボーッと眺めていました。
すると、後方から声を掛けられ振り返ると同級生の男の子が、心配そうに私の顔を覗きこんでいます。
どうやら私はとても暗い顔で部活の様子を見ていたらしく、その表情に驚いて声を掛けてくれたとのことでした。
普段はそんなに親しわけではない同級生でしたが、何となく今の自分のモヤモヤした気持ちを打ち明けたくなり、受験に対するプレッシャーや、勉強をやっても結果がついてこなくてスランプを感じていることなどを話しました。
黙って聞いてくれていた同級生でしたが、私が喋り終わるとボソッと一言。
「一生懸命やっていない奴にスランプは訪れないよ。」
そう言って、私の肩をポンッと叩きました。
「自分が一生懸命努力してきたことに自信持てよ。」
それだけ言うと、その同級生はニコッと笑ってどこかへ行ってしまいました。
多分、私が泣いていたから・・・。
その言葉に私がどれだけ救われたのか計り知れません。
私はきっと誰かに認めて欲しかったんだと思います。
頑張ってるねって言ってもらいたかったんだと思います。
それをサラリと言ってくれた同級生。
本当に本当に感謝しました。
それから私は心が軽くなり、肩肘はらずに受験勉強を続けることができて秋ごろにはスランプを脱出。
長い長い受験期間を乗り越えて、希望の大学に合格することができました。
あれからその同級生とは特段親しくなったわけではありませんが、どこかで私の心の支えになってくれています。
何かスランプに陥った時は、あの時の言葉を思い出すようにしています。