10年悩んでから「悩み事がある」と言ってちょうだい

投稿者:さーもん (1977年生まれ/女性/福岡県在住)

当時、私は新卒で就職したばかりでした。
初めて取り組む仕事に四苦八苦し、上司に認められるような仕事ができませんでした。
また、仕事ができないので、先輩の手を取らせて迷惑をかけていました。
同期は仕事がうまくいっているようで、自身に満ち溢れているように感じました。
毎日、息を吸うごとに「どうしたらよいのかしら」と思うことが増えていき、「いつかはうまくいくのかな」と不安ばかりの毎日でした。

母は当時は管理職として働いていました。
小さいころから一生懸命に働く母は私の自慢でした。
ちょうど母と休みが同じになった日がありましたので、二人で買い物に行きました。
その道中で「仕事はどう?ちゃんとやれている?」と尋ねられたので、日頃、仕事や人間関係について悩んでいることを打ち明けました。

すると母からは、
「10年悩んでから「悩み事がある」と言ってちょうだい」
という言葉が返ってきました。

そして、
「毎日同じことを10年考えていたら、それは本当の悩みごと。
たいていのことは10年同じことを考えることはまずない。
だとしたら、今悩んでいることはいずれ時が解決して、あの時なんであんなことで悩んでいたのか、ばからしくなる。
悩んでいるときはそのことばかり考えているから、ものすごく重大で深刻なことだと思うけど、あと2~3年もすればまた別のことで悩んだりする。
だから、今悩んでいることなんて大した悩みではないよ。
それに、考える時間があるということは暇な証拠。
毎日がむしゃらに働きなさい」
と言ってくれました。

私は次の日から母の言葉を胸に仕事に取り組み、先輩のアドバイスにこれまで以上に向き合うことにしました。
同期と比べることもやめました。

あれから10年以上のときが流れ、今私も結婚して子を持つ身になりました。
仕事ももちろん続けています。
母の言うとおり、当時私の心を占めていた悩みはどこか遠くへと行ってしまい、あんなことで悩んでいたことすらも忘れてしまいました。

「自分にとって大きなことは人からみれば小さなこと、今大きなことは後からみれば小さなこと」
それを身に染みさせてくれた母の言葉でした。

error: