何かをしたいと言う奴は何もしない!
投稿者:slowhandt (1959年生まれ/男性/神奈川県在住)
30代前半の頃の話です。
上司と仕事の話をしている時の事です。
何の話をしていたのかは覚えていないのですが、上司から驚くべき事を言われたのです。
それは「何かをしたいと言う奴は何もしない!」と言う事でした。
したい奴は何もしない。
私には意味が全くわかりませんでした。
したいと思えば、それを何とかしようと努力すると思っていたからです。
したい事と言うのは、一般的には夢と言い換えても良いかと思います。
夢を追う事はすばらしい事だし、追うべき夢がある事は、人生で大事な事だと思っていました。
しかし上司は、何かをしたいと夢の様に言う人間は、結局いつまで経っても何もしないし、するつもりも無いというのです。

言いすぎだと思いました。
したいと思える事がある事はとてもすばらしい事だし、事実30代前半の私にはしたい事が山の様にありましたから。
その思いを否定されたので、ちょっと憤慨していました。
その事を上司に告げると、「お前にもその内わかる。そういう視点で会社の先輩同僚を観察してみろ」と言うのです。
それからと言うもの、私にはその上司の一言がずっと気になる様になり、周囲の人たちの言動をその視点から見る様になりました。
すると、「したい」という言葉を、多くの人たちがよく使っている事にも気づく様になりました。
つまり多くの人が頻繁に使う言葉という事は、重みが無く、確固とした意思を持って使っている言葉では無いという事がわかって来ました。
そして上司に言われた通り、「したい」と頻繁に言う人たちは、結局ずっと「したい」と言い続けていて、したい事をしていないという事実が見えて来ました。
上司の言う通りだという事がわかって来たのです。
結局、何かを成し遂げた人の言動を見ると、「したい」ではなく「する」と言っている事がわかって来ました。
明確な意思を持って何かを「する」とコミットしているのです。
ところが「したい」人はしないのです。ずっと「したい」と言っているのです。
例えば、現在イタリア・セリエAのACミランに所属する本田圭佑選手の小学生の時の文集には、自分は「世界一のサッカー選手になりたいと言うよりなる。」と書かれています。
その上で、「Wカップで有名になって ぼくは外国から呼ばれて ヨーロッパのセリエAに入団します。そして レギュラーになって 10番で活躍します。」とまで書かれています。
世界一のサッカー選手に「なりたい」とは書いてない。10番で活躍「したい」とは書いていない。
小学生の時から自分の将来の夢を描いて、コミットしている。
しかも、それを本当に実現しているのですから、すばらしいとしか言い様がありません。
これほどの例はなかなか無いと思いますが、上司が言っていた「したい奴は何もしない!」「お前にもその内わかる」という言葉の意味が、本当にわかりました。
そして、この一言の意味を私自身が納得してから、私は必ずすると決めた事にはしたいと言わない自分になりました。