あなたはどう思っているの?
投稿者:yuki (1989年生まれ/女性/佐賀県在住)
「あなたはどう思っているの?」
これは私の母の口癖です。
うちは母子家庭で、母は私を女手一人で育ててくれました。
私は一人娘でしたので、小さい頃から母と二人三脚で人生を歩んできました。
「お母さんに楽をさせてあげたい。」
と、わたしは積極的に家事の手伝いをし、少しでもいい職業に就けるようにと学業に励み、奨学金の補助を受けながら大学まで進学しました。
しかし大学時代に精神病を患い、このまま学業を続けるか迷っていた時があります。
「お母さんごめんなさい。
お母さんの期待にこたえることができない。
今まで学費も払ってくれていたのに。」
と打ち明けると母は、
「私の気持ちを考えてくれるのは嬉しいことだけど、これはあなたの人生なのよ。
続けるかどうかは、お母さんがどう思っているかではなく、あなたがどう思っているかをまずは最優先して考えなさい。」
と言ってくれました。
せっかく大学まで行かせてもらえたのに母に申し訳ないという気持ちでいっぱいでしたが、休学するのも留年するのも、「私がどうしたいか」を最優先にして判断していいと言ってくれた母に感謝しました。

結婚の話が出た時も、「私は病気だから、向こうのご両親にご迷惑かもしれない。」と母に相談したところ母は、
「彼はあなたのことを愛してくれているのでしょう?
それなら問題ないじゃない。
周りがあなたたちのことをどう思うか考えるのは二の次よ。
まずはあなたが本当に彼を愛しているのかどうか、そして今後どうしたいのかが一番大切でしょう?
あなたが決めたことなら、お母さんは反対しませんから。」
と答えてくれました。
わたしは結局大学を卒業することはできていません。
そして、その数年後に主人との結婚を決めました。
同級生がどんどん有名企業に就職し、上京して夢を叶えている姿を見て羨ましく思う時もあります。
しかし、私の人生のすべては「自分がどう思うか」で決めたこと。
人生には困難もたくさんあるけれど、きちんと自分の意思で歩いた道のりに後悔はありません。
主人と幸せに暮らす毎日をとても幸せに思っています。
周りの人の気持ちや、場の雰囲気を読んで行動することはもちろん大切なことです。
しかし近年、若者を中心に「空気を読む」ということばかりに気を取られ、「自分がどう思っているか」ということをおざなりにしてしまう、主体性のない人々が増えているように思います。
それは同時に、自分の気持ちを見失って、人生のある地点において思い悩んでしまう原因にもなってしまうのです。
だからこそ母は、「自分の考え」をまず大事にすることを繰り返し私に教えてくれていたのだと思います。