将来ハイヒール履きたいなら勉強しておきなさい。
投稿者:ayu (1985年生まれ/女性/東京都在住)
私は3人姉妹の末っ子で一番上の姉とは10歳も年が離れており、私が中学生になる頃には上の姉は仕事を持っていました。
年が離れすぎていることもあり日常でこれといった話をすることもなく、下の姉とたまにケンカをしているとうるさそうにちょっと小言をいう程度でした。
両親からすれば私は40歳を過ぎてからできた子供なので、例にもれずとても甘やかされていたと思います。
姉たちは勉学も優秀でふたりとも公立の学校に通い、上の姉は奨学金で短大へ、下の姉は国立大に進んでいました。
なので両親には「まぁひとりくらい私立に行ってもいいか。」という気持ちがあったと思います。
私はそういった甘やかしを一身に受けて毎日勉強もせず友達と遊びほうけていました。

中学生の最初のお正月に突然、父が脳梗塞で倒れました。
お正月休みで家族全員が家にいましたので発見も早く、道も空いておりすぐに病院で治療を受けることができたため、命に別状もなく家族みんなでホッとして抱き合って喜んだことをよく覚えています。
ただ、その頃から私の中で両親の庇護が永遠でないことを意識するようになり、漠然とした将来への不安のようなものが湧いてきて意味もなく思い悩むといった日々がありました。
そんな頃です。
それまで滅多に話などしない上の姉が、私に何をそんなに悩んでいるのか聞いてくれました。
私は両親がいつかいなくなってしまうのではないかという不安、将来自分がどのように生きていくのか全く分からないといった不安について打ち明けました。
姉はふぅーんと考えてから私に聞きました。
「将来どんな女性になりたい?かっこいいキャリアウーマンって感じ?子供に囲まれて近所のおばさんって感じ?」
「キャリアウーマンがいい。」
即答しました。
母もずっと働いていましたし姉も毎朝ハイヒールにスーツで出勤していましたので、当然私もといった憧れがあったと思います。
「じゃあいろいろ考える必要ないよ。将来ハイヒール履きたいなら勉強しておきなさい。今はそれだけでいいよ。」
姉のその言葉で頭の中の霧が晴れていくようでした。
将来のビジョンが具体的な映像になって頭に浮かんだからだと思います。
それからは高校受験に向かって3年間勉強に励みました。
大学も姉達ほど優秀なところとはいきませんが、程々の大学を卒業して今ではハイヒールとスーツで仕事を続けています。
これから結婚しても出産しても、母や姉達のように生きていけたらいいと思っています。