わたし、あなたの色大好きだわ

投稿者:mee (1961年生まれ/女性/京都府在住)

高校生の頃、私は彩度の高い「綺麗な色」というのがあまり得意ではありませんでした。
身に着ける物も母になんやかや言われながら、くすんだ色ばかりを着ていました。
そんな自分を肯定する事があまり出来ず、綺麗な色を身に着けたり選んだりする友人の方が心も綺麗で明るい人間のような気がしていたのです。
だからといって友人が少ないわけでも暗い学生だったわけでもなくて、むしろ明るく友人も多い楽しい学生生活を送っていました。
でもくすんだ色しか選べない私は本当は暗い人間なのかもしれないと、密かなコンプレックスを持っていたのも事実です。

そんな時に美術で色彩構成の授業がありました。
それは一袋ずつ配られた色紙の中から暖色と寒色を同じ数だけ選んで、画用紙の上に自由に貼っていくというものでした。
美術はとても好きな教科でしたが、この課題には正直とまどいました。
どうしようかと色紙を見ていると、暖色の中にも寒色の中にもくすんだ色がある事に気が付いたのです。
私は早々にそのくすんだ色の色紙ばかりを集めて、作業に取り掛かりました。

出来上がった作品はまわりの友人達の明るい作品とは違った雰囲気の物になりましたが、笑われても今の私にはこの色彩構成しか出来ないと居直った気持ちになっていました。
案の定、別に意地悪を言われるわけでは無いけれど「暗いなー」とか「らしいなー」とか、決してほめ言葉でないどこか否定的なニュアンスを含んだ言葉を貰って苦笑いをしていました。

その時一人のクラスメートが「わたし、あなたの色大好きだわ。本当に好きだわ」と言ってくれたのです。
彼女はセンスが良くて美しいクラスメートで、たまに話すぐらいで特別親しかったわけではありません。
だから余計に本心から言ってくれているような気がして、本当に嬉しかったのです。

そんな事があって私は進路を急きょ美術系の短大に変更しました。
好きな事を学びたいと思っていても自信の無かった私の背中を、彼女の一言が押してくれたのです。
わたしは短大を卒業した後、グラフィックデザイナーとして結婚するまで数年働きました。
幸せな今があるのは彼女の言葉のおかげだと感謝しています。

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