お疲れ様。頑張ってるじゃん。一口食べなよ。
投稿者:かな (1991年生まれ/女性/神奈川県在住)
私は高校二年生の時、クラスに友人がいませんでした。
学年が九クラスあったことも影響してか、仲の良い子は皆、他のクラスになってしまったのです。
クラスでは基本的に一人でいて、自分を出せるのは部活の時だけ。
私は茶道部に入っていました。
全部で十名ほどの小さな部活でしたが、部室にいると心が安らいだものです。
週に一度の部活の日は、とても幸せだったことを覚えています。

そんな私たち茶道部が一年のうちで最も気合をいれるのが、文化祭。
普段の活動の中では、コンビニで買えるような安いお菓子を買い、お茶メインでの活動をしていました。
しかし、毎年文化祭では、少し高級なお菓子を用意し、お客様に、お茶とお菓子を振る舞うのです。
少しでも部員を増やしたい気持ちと、日ごろの成果を友人や家族に見てもらいたい気持ちでいっぱいでした。
その日のために、毎週、作法を学んでいたものです。
そして文化祭当日。
普段は地味な茶道部員も、着物を着て過ごします。
茶道部の部室は昇降口のすぐ目の前なので、お客さんの視界には必ず入ります。
しかし大体の人は、目的の場所へすぐに移動してしまうか、隣の調理室で活動している調理部に行ってしまったのです。
「お茶」というものは、やはり、敬遠してしまう人が多いもので、受付で声掛けをしてもなかなか人は集まってくれません。
それでも少しずつはお客さんが入り、お客さんが完全に途切れることはありませんでした。
とはいってもやはりお客さんは少ないため、受付で一所懸命声掛けをする私たち。
そんなとき同じクラスの同級生がやってきて、「お疲れ様。頑張ってるじゃん。一口食べなよ。」と声をかけてくれたのです。
その声をかけてくれた同級生は、クラスのリーダー的な女子で、化粧ばっちりのギャルでした。
普段からとても明るくて優しいため、クラスのリーダー的存在なのだと思います。
同じクラスの同級生の多くは、みてみぬふりをして部室の前を通って行きますが、彼女だけが足を止めて声をかけて、手に持っていた食べ物を「あ~ん。」と一口くれたのです。
用があったようで、中には入ることができなかったものの、声をかけてくれただけで本当に嬉しかった。
私のような浮いている人であっても、クラスの一員として認めていてくれたのを感じます。
本当に素敵なリーダーです。