車は戦争と同じだ。
投稿者:もぐもぐ (1979年生まれ/女性/神奈川県在住)
父方の祖父は生前、近所のこどもたちを集めて道徳を教えているようなとてもお堅い人でした。
寡黙で余計なことは一切喋らず口を開けば「勉強しているか。」
もちろん公園に一緒に行ってくれたり本を読んでくれるなんてこともありません。
そんな祖父が私はちょっと苦手でした。
私は18歳になり車の免許が取れると嬉しくて、家の車を拝借してはあちこちドライブに出かけていました。
初めは一人で公道を走るのが怖くて父や兄に同乗してもらいたくさん練習しましたが、慣れてくると友達を乗せて遠くへ遊びに行ったり、夜景を見に夜中に出かけたりもしました。
今までとは段違いに行動範囲が広がって、思い返せばもう楽しくて仕方ないという感じでした。
もちろん注意して運転しなければいけないとは分かっていましたが、運転中にステレオをいじったり、「新しいお店が出来てる!」などと言ってはよそ見をしたり、当時の私はそのことに何の疑問も持っていませんでした。

そんなとき、祖父から言われたのが「車は戦争と同じだ。」という言葉です。
最初は、戦争??と意味が分からず深く考えることはありませんでした。
祖父が亡くなり、私も子供を持つようになって、あるとき祖父が言った言葉を思い出しました。
嫌がるこどもをチャイルドシートに乗せて、「ちゃんとベルトもしてないと、他の車とごっつんこしたら飛び出しちゃうよ?頭ぶつけてイタイイタイになるんだよ?」って話してる時です。
どんなに気をつけて運転していても、もらってしまう事故もある。
こんな大きな鉄の塊がぶつかったら人なんて簡単に殺せてしまうんだな…と当たり前のことなのに改めてそう感じました。
戦争を経験している祖父。
私たちには戦争のことは一言も話さなかったけれど、辛い体験をしていたであろう祖父。
過去の出来事でどこか遠いところの話のように私は思っていたけれど、戦争と同じ位に人を不幸にしてしまうかもしれない車での事故。
そんなことが起こらないように気を引き締め、祖父の言葉を忘れず安全運転を心がけなければいけない。
車を運転するときには日々感じています。