君が40才を過ぎて独身だったら結婚しようか?

投稿者:m.m (1960年生まれ/女性/新潟県在住)

高校1年の夏休み、ジューススタンドでアルバイトをしていた頃です。
近くのアパレルショップで働いている、23才のカッコイイ男性と知り合いました。
何度も顔を合わせているうちに、彼がプロを目指して音楽活動をしている事を知りました。
その後、ライブ等ではスタッフとして、何度か手伝うようにもなりました。

ギター・歌唱力・ルックス・性格…全てが私好みでした。
そんな彼の影響を受け、私の中でも音楽への興味が膨らみ、ボイスレッスンに通う傍ら、彼の仲間達とも仲良くなっていきました。
その頃の私の呼び名は『ボク』…ショートカットの見た目的にも、性格的にも、男の子らしかったせいでしょうか?
彼を含めた仲間全員に弟的に可愛がられ楽しい時間を共有しつつ、それでも…彼女と同棲中の彼に対しては『お兄ちゃん』の一人として、距離を置き接していました。

それから2年…進学を諦めた私は、家族に反対されながらも音楽活動を続けていました。
その頃…彼のメジャーデヴューの話が舞い込んだのです。
仲間内ではもう、大興奮の日々でしたが…彼にとっては不本意な曲でした。
ポップス系というよりも歌謡曲?演歌?的な…曲。
年齢的にもアイドル路線という訳には行きません。
デヴューして2年…事ある毎に仲間全員で応援したのですが…売れませんでした。

ある日、久々に彼から電話が有り、喫茶店で待ち合わせすると。
もう…諦めて大阪の実家へ帰ると言う彼。
長男として、約束通り家業を継ぐ事にしたと言う彼。
彼女とも分かれてしまった様子。
私には何にも返す言葉がありませんでした。

そして…唐突に「君が40才過ぎて独身だったら結婚しようか?」と、冗談交じりに笑って言った彼!
びっくりしたまま、じっと見つめる私!!
きっと…ずっとずっと隠し続けて来た私の想いに気づいていたのでしょうね。
最後に…私の頭をポンポンと2回叩いて、席を立って行ってしまいました。

あれから…すっかり大人になった私は25才で結婚し、音楽からも遠ざかりました。
結婚式当日、彼からの祝電には笑えました。わざと女性名で祝電を送ってくれたのです。
旦那様は、ギターも弾けない…歌も歌えない…背が低くまん丸顔…ですが、優しい人です。
今…ずいぶん前に40才を過ぎ、すっかりオバさんになった私。
『お兄ちゃん』は、カッコイイままのオジさんになっているでしょうか?
時折…『お兄ちゃん』の歌と、あの言葉を思い出しては…泣きそうな自分に気づきます。

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