お前は俺のおまんじゅうの片割れやから、別れられへんことがわかった。

投稿者:kamome (1966年生まれ/女性/大阪府在住)

おまんじゅうのかたわれ・・・変な言葉ですが、深い意味があるのです。

私と主人が出会ったのは学生の頃。
彼はおしゃれで面白く、センスも良かったのでかなりもてていました。
私にしょっちゅう話しかけてくれたり遊びにも誘ってくれたので、「カッコいい人だな」とほのかな恋心を抱いていたものです。
そうはいってもライバルが多くておつきあい出来るとは思いませんでしたし、その時は私にもお付き合いしている人がいたので、あくまでも気の合うお気に入りの友人でした。

数年がたち、ある飲み会で再開した私たち。
昔の想い出話や近況報告で盛り上がり、そのかわらない笑顏に恋してしまいました。
その夜遅く、つきあってほしいと彼に告白され、私は有頂天になってすぐにOKと言いました。
これから楽しい毎日が始まる、年齢的にも結婚についても夢をひろげている私がいました。

ところが、お付き合いを始めた当初は、お互いに楽しい時は良いのですが、機嫌が悪かったり、思い通りにならなかった時にはいつも大ゲンカ。
性格は彼も私も気が強くて頑固なところも同じです。
そのくせプライドが高くて自分の弱さを人に見透かされるのをこわがっている、弱虫な私たちでした。
このままつきあっていて仲良く居られるのか、幸せになれるのか・・・と悩んでいる自分がいました。

ある時、またしても彼が浮気をしたのではないかと思い、激しく追及してしまった事がありました。
くやしくてわざと酷いことばを投げかけてしまったと思います。
彼もイライラして、いつも通りに大ゲンカが始まりました。
そして「お前みたいな強情で可愛げのない女はでてけ!!」と散々なじられました。
くやしくて情けなくて悲しくて、思わず彼の頬をなぐっていました。
メガネが素っ飛び、彼はポカンとしていました。
もうダメだ。別れようと思い、彼の名前呼びながら、さよならと泣きながらつぶやきました。

その時に彼がいったことば。
「ごめん、すまんかった。お前は俺のおまんじゅうの片割れやから、別れられへんことがわかった。ずっと一緒におってくれ」

なにをいっているのか一瞬わからなかったので、「なにをゆうてんの」と聞き返すと、
「お饅頭はな、手で半分に割ったら、わった所がギザギザやったり、でこぼこやろ。
でもな、そのふたつを合わせてみたら、ピッタリあうやろ。
おれは自分を事をダメな奴やと思てるねん。
我儘やし、勝手やしな。
決して出来た人間やないこの俺が、唯一心から分かり合える、安心できるのがオマエやねん。」

ギザギザ、でこぼこの私たち。
二人で合わさる事で一人前になれるのか。
そう考えると、なんだか心の中から幸せと安心感が溢れてきて、涙が止まりませんでした。

それから、私たちは喧嘩をする事がなくなりました。
お互いを支えあう事を一番に考えるようになりました。
結婚して10年が経ちますが、今でもいつも心の真ん中にほっこりと佇んでいるような、そんな愛おしい一言です。

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