いつでも帰ってきなさい、ここはお前の家なんだから

投稿者:sasaka (1983年生まれ/女性/東京都在住)

私は女3姉妹の家庭で育ちました。
両親は幼いころに離婚をし、父は男手ひとつで女三人を育ててくれました。
幼いころは母のいない子育てに奮闘していたはずです。
寂しさを感じさせないようにと配慮しつつ、甘やかさないようにと、厳しく育てられました。

年頃になると反抗期で父とはよく冷戦をしました。
しかしどんなときでもご飯の用意はいつもしてくれて、どんなに遅くなっても私たち姉妹の帰りを待っていてくれました。
仕事が順調にいいかず、収入が安定しなくて家の経済状況があまりよくなかったときには、本業以外にも夜中に仕事にでていました。
私たち姉妹が他の周りの友人たちの中で惨めな思いをしないようにと、お小遣いもいつもしっかりもたせてくれました。
そして、三人姉妹を全て大学までださせてくれました。

そして数年がたち、長女がお嫁に行きました。
その数年後には次女がお嫁に行きました。
結婚はとてもおめでたいことであるにもかかわらず、家族がどんどん家からいなくなってしまうようで私はとてもさびしかったです。
父は何も言いませんでしたが、私と同じくおめでたい気持ちとさびしい気持ちと半々だったと思います。

そして私はなかなか結婚もせず、実家に住んだままOLを続けていました。
まわりの友人はどんどん結婚していきましたが私は結婚から遠ざかっていました。
やがて父は私に早く結婚するよう促すようになりました。
いい人はいないのか?結婚は早くしたほうがいい。いつまで家にいるつもりだ?
などと、うっとおしくなるようなことを言ってくることも多くなりました。
実家にいるのが嫌になり、一人暮らしをしたほうがよいかもとおもったこともありました。

そこから数年後、私もやっと好きな人と結婚をすることになりました。
嫁ぐことになるので家をでることになりました。
結婚の相談と報告を父にすると、父は「おめでとう!やっとだな」と言いました。
父はずっと子育てで苦労をしてきて、やっと本当の意味で子育てから開放されることを喜んでいるのだと思いました。

籍をいれ、真っ先に父に報告をしました。
すると父の態度は変わりました。
あんなにも私を家から追い出そうと、早く嫁に出そうとしていた父はこういいました。
「お幸せにね。何かあったらいつでも帰ってきなさい。ここはお前の家なんだから。」
父の愛を感じました。
そして父の子育てはいつまでたっても終わらないのだと思いました。

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