先が見えない

投稿者:たっぴ (1979年生まれ/男性/東京都在住)

私は某難関資格の取得を目指して長年、勉強していました。
しかし、なかなか受からず、ちゃんとした仕事もしないでダラダラと惰性的に勉強をするといった同じ毎日を過ごしていたのです。
その間に後に妻となる彼女と出会い、恋愛をするようになり、付き合い始めました。
私はほぼ無職に近い状態でしたので、こんな状態の私に彼女ができるなんて当時を思い起こせば贅沢にも程があると思うぐらいです。
そして、その後、私は彼女と同棲することになり、彼女は外で働き、私は勉強とアルバイトという生活が始まりました。

当時は彼女も私が資格試験に合格をすることを信じ応援してくれていました。
不合格の通知が来ようとも励ましてくれ、私が勉強で遅く帰ってきたときも1人で家で待ってくれていたのです。

それから数年が経過しましたが、不甲斐ないことに私は依然として資格試験に合格していませんでした。
ずっと同じことの繰り返し。
毎日、勉強勉強勉強・・・。
彼女を遊びにも連れていってやれず、1人で家で待たす日々。
彼女の周りでは結婚の報告が相次ぎ、その話をする度に彼女の顔は曇っていました。
気が付くと私も彼女も30代半ば。
2人の間には停滞感みたいなものがあったかもしれません。

そんなマンネリの日々に耐えかねたのか、ある日、彼女は一言私に対し言いました。

先が見えない・・・と。

そして彼女は涙を流し始め口火を切りました。

ずっと同じことの繰り返しであなたのやっていることの結果が見えない。
やりたいこともできないし、このままでは子供も産めない。
貴方は男だからいつまでも夢を追いかけていればいいけれど、女の私には限界がある。
いつまでも若くはないし、いつかは結婚はしたい。
でも、貴方といると先が見えないの。

私は返す言葉が見つかりませんでした。
私のエゴで彼女をこのような状態に追いやってしまったのですから。
私の中で不安に満ちたものが生まれてきました。
それは彼女を失う怖さだったかもしれません。
そして確信しました。
このままではいけないのだと。

私は彼女の言葉を受けて決心し勇気を出して、結婚しようと彼女に伝えました。
彼女は本当に?と確認するように聞いてきました。
私の突然のプロポーズを信じられなかったのかもしれません。

その半年後、私達は結婚しました。
その後、めでたく子供が生まれ、今では私は資格試験を諦め仕事と子育てをしています。
今でも妻のあの言葉は頭に鮮明に残っています。
あの言葉が無ければ今の幸せな家庭がなかったわけですから、妻にはとても感謝しています。

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