金に汚いやつは、すべてに汚い
投稿者:はなこ (1973年生まれ/女性/スペイン在住)
A man dirty with money, dirty everywhere ~金に汚いやつは、すべてに汚い~
離婚した夫が言っていた言葉です。
割と裕福な家に生まれ、何不自由なく育った私です。
海外の大学を卒業後間もなく結婚し、安定した収入のある夫のもとで専業主婦になったので、その意味は分かりませんでした。
お金を大事にするということも知りませんでした。
一方この前夫は、貧しい家に生まれ、大学には行かせてもらえませんでした。
高校卒業後、自分の夢を実現するために、一生懸命お金を貯めて勉強をし、自らのビジネスを始めた人です。
自分の会社なので、会社のお金、自分の収入と、最初はとても苦労したそうです。
お金の苦労を知らない私とは正反対です。

8年間続いた結婚生活に終止符を打ち、専業主婦だった私は生活のために仕事に出るようになりました。
何のキャリアもなかった当時の私は、食べていくのに精いっぱいくらいの収入しかありませんでした。
家賃と食費、水道光熱費を支払うとお金はほとんど残りません。
離婚後に間もなく、一人の男性と知り合いました。
この男が、「金に汚いやつは、すべてに汚い」を目の当たりにすることになった張本人です。
彼は自分の兄が経営する小さな工場で、何かの型抜きをする仕事をしていました。
収入は、少ない私の収入のさらに半分。
アパートも借りることができず、仕事場である工場に寝泊まりしていました。
私と出会ったのをいいことに、アパートに転がり込んできました。
もちろん家賃は私もちです。
食べ物も一切私が買っていました。
週払いの彼の給料日は金曜日。
この給料は週末の飲み代で消えます。
週末は高価な酒やおつまみを買いまくり、家に閉じこもって飲んだくれていました。
服も着替えず、お風呂も入らず、歯を磨くこともなく、テレビの前に座って酒を飲むのです。
月曜日の朝になればもう一銭もなく、私にたばこ代をねだったものです。
ある日、私のポンコツ車が故障し、買い替えを迫られるようになりました。
田舎に住んでいたので、車は通勤手段として必要でした。
買い替えの資金は、なけなしの貯金でしたがありました。
車に詳しい彼に相談すると、全部任せるように言うのです。
言うことを聞いた私もばかでしたが、車の買い替えに使うお金をすべて、彼に渡してしまったのです。
あれくらいの金額であれば、中古の感じの良い車が買えたはずです。
しかし、彼が持って帰ってきたのは前にもましてポンコツのていをなした車です。
いくらだったかは教えてくれませんでした。
渡した金額でぴったりだったと言われたのです。
その後、彼の酒グセが悪化し、私に暴力を振るようになりました。
時々顔を殴られ、目の周りを紫にして出勤したものです。
心配した職場の同僚が、彼と別れたらどうか、大変だったら手を貸してあげる。家に帰りたくないときは、私のところに泊まりに来ていいから。と親身になって話をしてくれました。
この同僚の女性の言葉で勇気がわき、彼と別れました。
私のアパートから追い出して、元の工場へ送り返したのです。
ところがしばらくは、アパートの近くでうろうろされ、私の姿が見えれば、私の名前を叫んだりして、ストーカーまがいの行為をされました。
この間は同僚のお言葉に甘え、彼女の家で過ごした日もありました。
うんざりした私は彼の買ってきた車まで忌々しくなり、もう売ってしまうことにしたのですが、書類が、ない。
彼がアパートを出る時に持って行ってしまったのだそう。
確認するために電話をしなければなりませんでした。
私をおびき出す罠だから、と心配した私の兄が、数人の友人とともに書類を取り返しに行ってくれました。
しかもはるばる日本から。
これでめでたく、とはいきませんでした。
一度も書類を確認しなかった、車の買い方も知らなかった私が悪いのですが、なんとその車の所有者は彼の名前になっていたのです。
なんとまあ。
私の兄は再び彼のところまで行って、車の所有者を変更するための書類にサインするように言い聞かせてくれました。
ごねて大変だったそうです。
兄とその友人に感謝と、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
この経験がかなり傷になり、しばらくは男の人を信用できなくなりました。
その時思いだしたのが、~金に汚いやつは、すべてに汚い~という言葉です。
この話は20代30代の頃に住んでいた国での出来事です。
その時以来、お金の管理がきちんとできない人には近寄らないようにしています。
すると自然に、信用できる人しか周りにいなくなりました。