あなたは「思う、思う」といっていますね、それは思考です。 あなたのフィーリングはどうでしょう?

投稿者:はる爛漫 (1965年生まれ/女性/愛知県在住)

5年以上前のことになります。
当時、私は家庭の問題を抱えながら仕事をしていました。
仕事内容はとても気に入っていて、やりがいを感じていました。
仕事をしっかりとしていくことが社会貢献にもつながる、まさに天職だと感じるほどでした。

しかし、外部的にはとても信頼され、お客様にもご満足いただける仕事をしてきたのですが、内部の人間関係がどうもしっくりと行かなくなり始めたのです。
女性社員とは問題ないのですが、社長をはじめ男性社員となにかにつけトラブルが出るようになりました。
もともと社長からは絶大な信頼と期待をいただき、それに応えるべく努力邁進してきたはずです。
ところが、ある男性社員の無責任な行動が許せなくなり、それをカバーしようと動けば動くほど、うまくいかなくなってきたのです。
そこからだんだん社長とも波長があわなくなり、社長の嫌な面ばかりが気になるようになりました。
そうなってくると、いろいろなことが裏目裏目に出始めます。

今思い返せば、家庭の中で夫とうまくいかなくなっていた時期でもあったのです。
社長の発言の中に、夫の姿が見え隠れしていたのかもしれません。
男性に対する怒りの感情が、自分自身をコントロールできなくしていたのでしょう。
毎日が憂鬱となり、会社に行くことがだんだん辛くなりはじめました。

そんな時、「あぁ。座禅がしたい」と思いついたのです。
インターネットで座禅道場を調べたのですが、自分にしっくりするところがみつかりません。
キーワードを「瞑想」に変えて調べていくと、何やら気になるサイトをみつけました。
始めは怪しいと避けていたのですが、検索しなおすたびに出てくるのです。
ちょうどその週末にセミナーがあるということでした。
遠方ということもあり、セミナー代だけでなく交通費、宿泊費などに躊躇していました。
会場近くに友人が住んでいて、その家に泊めてもらうことができるなら行ってみようと決意し、友人に連絡したところ泊まっていいよと快諾してくれました。
これは何かのお導きなのだなと思い、参加を決意したのです。

もともと仕事で自己啓発セミナーのようなものには会社の勧めもあり、いろいろ参加していました。
そんな時は、かならず最前列に座るようにしていました。
今回もご多分に漏れず、最前列を確保し、今の状況を変えたいと強く願っての参加です。
開始早々、まもなく「では瞑想しましょう」と言われました。
簡単なコツは教えてもらったのですが、頭の中は雑念だらけで瞑想とは程遠い状態です。

瞑想の時間が終わり、振り返りとなりました。
講師が「瞑想はできましたか?うまくできなかった人はいますか?」と尋ねました。
『瞑想なんてそんな簡単にできるわけない。多くの人がそうでしょう!』と自信をもって挙手しました。
すると100人以上の会場で、手を挙げたのはまばらで後ろを見たらあまりの少なさにびっくりしました。
当然、最前列で正々堂々と手を挙げた私は、講師から質問されました。

「どうして瞑想がうまくできなかったと思いますか?」
「はい。頭の中が色々な思いがぐるぐるして離れませんでした。」
「どのようなことがめぐりましたか?」
「実は、今仕事でとても悩んでいます。今私のやっている仕事はとても大切で、世間の人々を健康するために必要な情報だと思うんです。
これをやり続けることが私の人生の使命のように思っています。
でも会社の人間関係がうまくいかなくて、自分の思うように仕事ができません。
私は決して悪いことをしているとは思いませんが、会社は私のやることに良い評価を与えてくれないのです。
なぜそんなことが起きるのかと考えていると、色々なことがぐるぐると頭の中を巡って、離れていきませでした。」
「なるほど、なるほど。
さきほどからあなたは「思う、思う」といっていますね、それは思考です。
あなたのフィーリングはどうでしょう?そこにいたいですか?いたくないですか?」
「いたくないです。」
「はい。それが答えです。」

ハッとしました。
私は自分の行動を正当化するために、理由をつけ、あたかも人生の使命であるがごとく自分を納得させていたのです。
すでに私はその会社で学ぶべきこと、やるべきことを行い、次の段階に進むときだったということに気づかされました。
肩の力がすっと抜けて、これまで甲羅のように自分自身を固めて頑張ってきたことが、もうこれでいいんだよといわれているようでした。
涙が出て、これまで流れに逆らうように頑張ってきた自分を許すことができたのです。

その気づきを得てからは、会社を辞めるために自分自身の抱えていた仕事を棚卸し引き継ぎを行い、とても穏やかに退職することができました。
また、棚上げしていた家庭問題をしっかりと見つめ、夫と話し合うこともでき、今はとても良好な関係を続けています。
もちろん今では瞑想も私の中になくてはならないものとなりました。

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