接客は、恋愛と一緒だよ。

投稿者:やんたに (1979年生まれ/女性/福岡県在住)

私はコネ入社で仕方なく受付の仕事をしていました。
入社して1年後、事務所にショールームを増設することになり、接客する機会が増えました。
小さな事務所で社員数も少なく、目標とする先輩もおらず、接客なんてよく分からず、毎日のように私の対応が悪いとクレームの嵐でした。
辞めたいけど金銭面のこともあり辞められず…。
毎日会社に行くのが嫌で嫌でたまらないのと、周囲や客に迷惑を掛けてばかりで申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
そんなある日、上司からまたクレームの報告を受けた後、この言葉をもらったのです。
「接客は、恋愛と一緒だよ。」

私は学生時代から恋愛体質で、雑誌などで恋愛記事を読みあさったり、恋愛スキルを身につけることが好きでした。
恋愛が趣味、生きがいと公言していたほどです。
上司からのこの一言で、体に電流が走ったかのように、接客マニュアル本を読みあさる日が続きました。
そして、「お客様に会社のファンになってもらい、商品のファンになってもらい、私のファンになってもらおう」という目標ができました。

それからは、接客に対する姿勢が大きく変わりました。
しかし、商品知識も説明スキルもなく、思うように接客できないのが悔しく、毎日商品勉強と説明練習に明け暮れました。
すると、クレームはなくなり、指名してくれるお客様が少しずつ増えてきました。
どんどん楽しくなり、マニュアル本に載っていないような、恋愛術も盛り込んでの接客も試してみました。

社内では不評でした。
「接客とは、積極的に説明するものだ」と。
しかし「駆け引き」「聞き上手になる」などのテクニックをこっそり接客で実践してみると、お客様の反応が大きく変わり、手ごたえを実感できました。
成約数やリピート数が上がりました。

一番驚いたのが、短時間でクロージングできるようになったことです。
お客様の話を聞くことで、好みや要望を早い段階で把握でき、商談時間が短縮できるのです。
今では、もうこの接客方法は常識となってしまいましたが、その頃は、私のアピールポイントとして大きな自信となりました。

それから10年以上接客の仕事を続けました。
あの上司の言葉がなければ、私は接客の仕事を諦めていたでしょう。
上司にも、あの言葉にも感謝してもしきれません。

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