人間は勝つか負けるかで大きく変わる

投稿者:norynory (1960年生まれ/男性/大阪府在住)

私は会社に入って10年ぐらいたっていました。
仕事は普通にこなしていましたが、とりたてて優秀な成果を上げている訳でも無く、普通のレベルの地位に安住している状況でした。
その頃の直属の上司も変化を嫌う人で、昔から親しかった上司との人間関係がうまく行っていればそれでよいと考える様な、平凡な上司でした。
将来のビジョンンも描けません。
こんな状況では私の会社での評価はいいつまでたっても上がりません。

また技術者であったことからチームプレイが基本の職場では個人の成果をアピールする術もありませんでした。
若い頃は、もっと仕事に対して希望を持っていましたが、仕事もそれなりにわかってきたし、給料もそこそこ支給されるから、もうこれでいいやとすら考えていました。
このような停滞感が組織全体に充満していた様な気がします。

経営幹部は喝でも入れようと思ったのでしょうか、責任者の人事異動を行って、別部門から実績のあるタフな責任者を引っ張ってきました。
それと同時に、会社の中では初めてと思われる様な困難なプロジェクトが発足しました。
軸となる主担当はうちの部門です。

いきなりその引っ張られてきた実績のある責任者が私の直属の上司になりました。
そして上司はプロジェクトチーフ、私はプロジェクトメンバーの一員になったのです。

プロジェクト内容は世界的に大きなメーカと組んで、海外向けの主要商品を開発することです。
それも当時としては格段に高品質なレベルに仕上げなければなりません。
本当にこんなことができるのかと、やや懐疑的な気持ちで仕事をスタートさせました。

わからないことの連続で、従来の事なかれ主義の仕事の方法やスピードもまるで異なりました。
世界のグローバル企業が考える仕事とはこんなスタイルかと気づかされました。

ロクに休みも取れませんでしたがプロジェクトに見通しが立ち、久々にチームでお酒を飲みに行くことになりました。
その時、私は直属の上司の隣の席に座りましたが、酔いが回るにつれ上司が
「人間は勝つか負けるかで大きく変わる」
と自分に言い聞かせる様に何度もつぶやいているのを聞きました。

この上司は強い心で弱音を吐かず、プロジェクトを引っ張ってきた厳しい方でした。
でも、こんな人でも日々のプレッシャーを相当受けていたことを知り愕然としました。

人間は勇気もあるけど不安もある。
「人間は勝つか負けるかで大きく変わる」
この言葉で上司は自らを奮い立たしていたのです。

私はなぜか、その言葉が印象強く記憶に残り、「勝つこと 変えること」に全力を捧げました。
プロジェクトは無事に成功して、私も管理職に昇進しました。
人生の正念場は確かにあることを思い知らされました。

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