教師は天職だ

投稿者:ちびたま (1977年生まれ/女性/栃木県在住)

私が高校生の時に2年、3年と担任だった先生が言った言葉が忘れられません。
年齢を重ねれば重ねるほどに、なぜか胸に響く言葉です。
卒業間近のころでした。
HRの時に、先生が自分は高校教師が天職だと思っているとおっしゃいました。

先生は本当は、小学校の先生になりたかったそうです。
かわいい小さい子共たちを教えて、「先生ー」とかわいく呼ばれたかったんだと言っていました。
気難しい年頃の高校の教師なんて考えてもいなかったと。
けれど大学生の時に色盲であることが分かって、小学校の教師にはなれないと分かったそうです。

人生で初めての大きな挫折。
しかも自分の努力ではどうにもならないことでの挫折。
もういっそすっぱり諦めてサラリーマンになろうと思ったそうです。
でも、就職活動にも身が入らなく、どうしても教師になる夢を諦めることが出来なかった。
なら自分が好きな歴史を思う存分教えられる高校教師になろう!もう高校でもいいや、とそんな気持ちで高校教師になった。
その程度の気持ちで高校教師を選んだんだと。

でも高校教師になってみると、高校生も自分から見れば大人ぶっているだけの子供で、生意気なことを言われても一度も腹が立ったことが無いし、かわいいもんだと思ったそうです。
さらに当時はなんとも思わなかったけれど、自分は愛想がいいほうでもないし、体育会系なので優しい顔つきでもない。
むしろ小学校の先生よりも高校の先生のほうが合っていたんじゃないかとさえ思ったそうです。
今ではどうして小学校の先生を目指していたんだろう、と思っていると笑いながら言っていました。

実際、受験シーズンの時は職員室に寝袋持参で泊まりこんで私たち生徒の内申書を書いてくれていました。
他の先生方が、「あそこまでしてくれる先生はなかなかいないよ」とおっしゃるくらいでした。
でも先生は、自分の内申書で生徒の将来が決まると思えば全く苦にならない、楽しいと言ってました。

それを聞いたとき、感服したというか感動したというか、私たちのためにそこまでしてくれていたんだと素直に感謝しました。
それと同時に自分の仕事を天職だと言える先生が素敵だなと思いました。

大人になっても、社会人になるとふとその言葉が頭をよぎって、私は天職だといえる仕事をしているのかな?と自問自答したりします。
仕事で嫌なことがあって落ち込んだりした時も、もう少し頑張れば私もこの仕事を天職だと思えるかもしれない、と思い直しました。
そのおかげで今があると思っています。
まだ先生のように胸を張って天職だとはいえませんが、いつかそう言える様に頑張ろうというのが私の目標になっています。

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