この世に損な経験はひとつもないぞ。

投稿者:Akky (1978年生まれ/男性/新潟県在住)

これは僕が21才の時の話ですが、料理の専門学校を卒業して就職しました。
僕は地方の出身ですが、初めての就職は関東ということで気分も一新して気合いを入れて料理の会社に入社しました。
もちろん覚悟はしておりましたが、楽な仕事でもなく、当たりの強い言葉をかけられたり仕事量の多さから時間内に終わらず怒られたり、なかなか厳しい荒波に当たってました。

それでも最初のうちは、これが普通なんだ、自分が仕事できるようになれば怒られることなんてないんだと言い聞かせながら耐えて来ました。
しかし月日が経つにつれて、なかなか成長しない自分に上司も呆れてしまうようになりました。
さらに元々肌の弱い僕は手が荒れてしまい、そのために作業には薄い手袋の着用を義務付けられ、おかげでさらに仕事が遅くなり、散々な日々を送っていました。

周りの同期生も毎日愚痴を言ったり弱音をはいているなか、みんな同じ目に遭ってるんだな、自分だけが辛い訳じゃないんだなと思い、その度に明日は頑張ろうと自らを励ましながら一年近くが経ちました。
なんとなく雰囲気には慣れてきてはいたものの、やはり上司たちの思う仕事ができず、相変わらず罵声をあびせられて、ついに僕の気持ちは吹っ切れてしまい、上司に辞職することを伝えました。

それからはとても自分が情けなくて、あの一年前の気合いはなんだったんだ、調理師学校に行かせてもらったのにこのザマはなんなんだと自分を責めました。
親に申し訳ないと思いながらもとりあえず辞めたことを伝え地元に帰りました。

切ない気持ちでいっぱいになりながら、職場を紹介してくれた調理師学校の先生に報告にいきました。
色々言われるなと覚悟してました。
しかし先生の返事は予想とは違いました。
「そうか、頑張ったな。落ち込むなよ。この世に損な経験はひとつもないぞ。」

ビックリしました。
僕のなかで会社での一年近くはおろか、この調理師学校時代すらも無駄になると思っていたのに。

それから僕は地元の飲食店でまた一から料理を勉強して、さらにお酒や接客も勉強し、今では1つの店を経営してます。
それまでも辛いことは多々ありましたが、耐え抜けるようになりました。

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