子どももいないのに、どうしてそんなに頑張れるんですか?

投稿者:totoro (1972年生まれ/女性/群馬県在住)

私が看護師として管理職をしていた時の事です。
30代初めで管理職になった私は、理想の医療に向けて張り切っていました。
連日朝早くから出勤し夕方暗くなっても病院に居続けて、すべての業務すべての患者に目を通していましたし、自分がいないと病棟が回らないつもりにもなっていたと思います。

私が勤務していた病棟は看護師という職業柄、働くママさんが多くいました。
今、自分が子どもを持って初めてわかりましたが、ママにとって夕方の時間はとても貴重です。
子どもが小さくても大きくても、できるだけ17時の定時に帰り、夕飯の買い物と支度、洗濯物の片づけなど子どもを寝かすまでにやる事には枚挙にいとまがありません。
「大変ですよね」とママ看護師に声をかけると「大変だけど、子どもの寝顔とかかわいいからがんばっちゃうのよ」という返答がよくありました。
その気持ちが分からない私は、どこかでうらやましいと思っていたと思います。
ある日そういう状態で大慌てで帰る人たちが多数の中で、いつまでも病院に居座りあれこれいじくっている私に、20代前半の若いママ看護師が「子どももいないのに、どうしてそんなに頑張れるんですか?」と言ってきました。

私は違和感を覚えました。
子どもがいないから日常生活に張り合いがない、頑張りがいもないのに~と言われているように感じたからです。
その看護師は、それほど深い意味で言ったのではないとは思います。
ずっと病院に居続けて何を楽しみにやっているんだろう、と単純な疑問を持っただけだと今は思っていますが、その時は「子どもだけが生きがいじゃない、仕事そのものにバイタリティを燃やしてるのよ」と言ってやりたい気持ちになりました。
ただ、痛い所をつかれたのも事実で、結局何も言えずに「まったくね~」と言ってお茶を濁したと思います。

この一言は、ちょっと疲れてきていた心にずっしりきました。
仕事は面白かったですが、このペースで見返りもない状態で働き続けてこのまま年齢を重ねて何が残るんだろう、一人でエンドノートとか書く日が来るのではないか、と急に不安にもなりました。
それと同時に、子どもにはほとんど興味はなかったのですが、同僚の子どもや子どもと接する姿が急に魅力的に見えてきました。
家に帰って、「ママー」と抱きつかれたらほんわかするだろうか、そんな想像もするようになりました。

女性にとって、結婚や子どもがすべての幸せの源とは思いません。
でも、やはり妻と呼ばれパートナーと安住したい、ふかふかした赤ちゃんを抱っこしたい、というのは大なり小なり本能にあるのかもしれません。
それから私は、少し仕事のペースを落として、仕事以外の事、買い物や映画や合コンなどに時間を使うようになりました。
すると、むしろ仕事にも集中できるようになり、患者さんにも上から目線を外せるようになったように思います。
あの瞬間は、ちょっとずきずきしましたが、今家庭を持って幸せを感じられるのはあの一言のおかげだなあ、と感謝しています。

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