仕事とは人の役に立つことであり、お金を儲けるために働いてはいけない

投稿者:カズ (1977年生まれ/男性/大阪府在住)

この言葉は僕が仕事に悩んでいる時に祖父から言われた言葉です。
就職してから5年ほど経ち、10年20年先の見通しが何となくですが見えてきたころに、このままこの仕事を続けていくかどうか悩んでいる時期がありました。

やりがいがある仕事ではあるのですが、そういった仕事はたいてい自分の生活のなかで趣味と仕事が一緒になったようなものになってしまいます。
「好きでやっているのだから・・・」という自分の気持ちがあるいっぽうで、見えない努力が評価されにくかったり、給与面で割に合わないということも少し悩んでいたのです。
ようやく新人扱いされないようになり1人であれやこれやと仕事を進めることが出来るようになったころ、その悩みを真剣に考えるようになり、仕事に対するモチベーションが本格的に下がり始めていました。

私の祖父は職人で、田舎に住んでおり、手作業で物を作り上げていく仕事をしています。
祖父の仕事のことはよく知りませんし、仕事をしているところを見たこともありません。
また、僕が仕事のことで悩んでいる時にはすでに退職していました。
なかなか会う機会がなかったのですが、ちょうど僕が仕事で悩んでいる時に、家族に会うためにふらっと田舎から出て来てくれたときのことです。

祖父は僕の仕事のことを聞いてきました。
仕事は順調か?と。
お酒も飲んでいたこともあり、悩んでいることを正直に祖父に打ち明けました。
祖父は僕が話し終えるまでずっと真剣な顔で話を聞いていくれました。
そして、僕が話し終えると、僕にある話をしてくれたのです。

人は何も持たずに生まれて、何も持たずにあの世に行くのだから、この世でいくらお金を稼いだところで、何の得にもならないと。
もちろん、これは食うに困っている場合には綺麗事にしか聞こえないが、今の日本では幸運なことに、真面目に働けば食っていける社会ができている。
仕事とは人の役に立つことであり、結果、その対価としてお金を貰うのであり、お金を儲けるために働いてはいけない。
人の役に立てる人間は、感謝され、仕事もいただける。
すると、もっと人の役に立ちたいと思うようになり、より勉強し、仕事もより多くいただけるようになる。

この話を聞いて、僕は感謝することを忘れていたことに気が付きました。
それまでは、仕事をしているのだからお金を貰って当然であり、利益の少ない仕事と利益の大きな仕事にはあからさまにモチベーションが違っていました。
しかし祖父の話を聞いてから、取引先の方やお客さまのことをよく見てみると、みなさん笑顔で感謝してくれているのが全然見えていなかったことに気が付いたのです。

それからは、どうやったらもっと役に立ち、喜んでもらえるのかを第一に考え、仕事に取り組むようになりました。
すると、仕事が楽しく、以前のようにやりがいをとても感じられるようになりました。
まわりからの評価は高くなり、業績もどんどんあがり、それに続くように給与も上がっていったのです。
祖父の一言がなければ、ずっと燻ったままで、仕事を楽しめる人生を遅れなかったと思います。

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