仕事にもいろんな人がいていいんじゃない?

投稿者:ジャスミン (1968年生まれ/女性/神奈川県在住)

大学を卒業して入社した出版社。
とある部署に、私と、別の新人女子の二人が配属されました。
かなりな倍率をクリアしたこともあって、私は「やってやるぞ」と自信満々な新入社員でした。

ところが、思うのとやるのとは大違い。
自信を失うのに大した時間はかかりませんでした。
毎月企画会議があるのですが、思いつきでプランを出すだけなのでほとんど採用になりません。
先輩たちの出す企画はどれも面白そうで、皆が活発に議論を交わしてベストな企画を選んでいく、その過程もとても格好よくて気がつくと傍観している自分がいました。

会社は自由な雰囲気で、定時もあってないようなもの。
残業当たり前で出社もバラバラ。
雑用や電話取りをするアルバイトの大学生がいたため、私たち新人も先輩たちより先に来ていればいいや、と次第に出社が遅くなりました。

ところがある日のこと、上司に私と同僚が呼ばれ、お説教を食らいました。
「入社してどんなことをやりたいのか。
先輩たちは出社してくるのが遅いけれど、自分の足で面白いと思ったものを見に行ったり、人に会いに行ったりしている。
君たちも努力せよ、そして新人なのだから早く来なさい。」
さすがに二人とも落ち込み、初めて真剣に語り合いました。

先輩たちはやすやすと人脈を広げているように見えます。
遊んでいるようで仕事をしているのです。その姿は眩しく思えました。
私はそれほど人なつっこい方ではなく、うまく人の懐に飛び込んでいけない…。
焦るばかりで逃げている。
それがすべての原因だと思う、と打ち明けると、同僚は、
「世の中にはいろんな人がいるんだから、この仕事にもいろんな人がいていいんじゃない?」
と静かに言いました。

確かに例えば営業でも、話上手で勢いで売る人もいるだろうし、実直な性格でお客さまから信頼され、この人が勧めるならと買ってもらえる人もいるだろう。
無理して背伸びしたり、こうあるべきという姿を演じようと思わず、自分の面白いと思う感覚を大事にしよう。
そう思いました。

その後も人脈は決して自慢できるほど広くはなりませんでしたが、焦らなくなりました。
私は出産を機に退社しましたが、彼女とは今も折にふれて連絡を取り合い、誕生日にはプレゼントを贈りあっています。

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