いつも僕の話を聞いてくれる先生が大好きです。
投稿者:けろりん (1985年生まれ/女性/東京都在住)
私は小学校でスクールボランティア活動をしていました。
仕事のない日には小学校に行き、教室で勉強の苦手な子のフォローをしたり休み時間には外で一緒に遊んだりと楽しく過ごしていました。
その子は、私が初めて小学校に行った時はまだ1年生でした。
年の離れたお兄ちゃんが二人いるということで、最初から口が達者で生意気な男の子でした。
ご両親が忙しいようで、家にいるときはお兄ちゃんが遊び相手だったらしく、話す内容はいつも同級生は知らないようなゲームやテレビの話でした。
小学校1年生に喜々としてガンダムを語られた時はさすがの私も驚きました。
そんな子でした。

このクラスの子供達はみんな人懐っこく、何かあると「先生、先生!」と話をしにきていました。
もちろん学年が上がるにつれて徐々にそれは減っていきましたが、成長の証でもあるので嬉しく思っていました。
でも、私は子供が一人で居たり何か普段と違うなと思うとこっちからつっかかりに行っていました。
担任の先生じゃないからこそ出来たことだとちょっと思っています。
その子もそんなことが多々ありました。
体格は大きめだったのですが気が弱く、ちょこっと不器用で自分の思っていることをアウトプットすることがなかなか上手くできず、たまに行き詰まっていました。
なので私はよくその子の所につっかかりに行っていました。
「どうした?」「何かあった?」「まぁちょっと話してみ」
その子は色々と話をしてくれました。
やがてその子たちも6年生になりました。
ちょうど私も仕事が忙しくなったり下の学年に入ったりでなかなか教室には行かれませんでしたが、休み時間には向こうから話しかけてくれることがありました。
クラスのみんなはやっていないゲームの話やガンダムの話、受験の話。
時間は短かったけれど、その子の気の済むまで話をしました。
そしていよいよ卒業間近になったある日の放課後でした。
玄関前の廊下を歩いていると、その子に呼び止められたのです。
「また何かあった?」
「そうじゃなくてね。」
そして、私に言ってくれました。
「いつも僕の話を聞いてくれる先生が大好きです。それだけ。」
そう言って照れくさそうにして学童の教室に入って行きました。
私は正規の教員ではなくスクールボランティアです。
けれど6年間一緒にいるなかで、そうやって思ってくれていたことが本当に嬉しく、また励みになりました。