お前の幸せがお父さんとお母さんの幸せなんだから

投稿者:のんき (1988年生まれ/女性/東京都在住)

私は一人っ子で両親にとても大切に育てられ、何不自由ない幼少時代を過ごしてきました。
父も母も私をただ単に可愛がるだけではなく、小さい頃から私を一人の人間として尊重してくれたので、自由にのびのびと過ごすことができたように思います。
そんな私が人生の岐路に立ったのは就職活動の時でした。
私は地元である東北の田舎を離れ東京の大学に入学していたのですが、就職はこのまま東京ですべきなのか、それとも地元に戻るべきなのか、とても悩みました。

私には将来の夢がありました。
自分が頑張った分だけ評価される営業という職種で、男性と同じようにバリバリ働くことです。
その夢を実現しようとすると、田舎ではなかなか難しいのです。
大手の企業はほとんど東京にあるので、東京で働くことを前提とした就職活動をしなければなりません。

私は悩みました。
一人っ子の私が東京で就職したら、田舎の両親はいったいどうなってしまうのでしょう。
今でさえ寂しい思いをさせてしまっているに違いないのに、このまま一生、私が東京で暮らすことになったらどんなに悲しむだろう。
老後はどうなってしまうのだろう。
それにもし病気になったりしたら…。
色んな想いが頭を巡りました。

そこで私は思いきって父に電話をしました。
父はいつも母にしか電話を掛けない私からの突然の連絡に少し驚いたようですが、何かあったのだろうとすぐに察してくれ話を聞いてくれました。
私が自分の夢や、両親を田舎に残すことへの心配、罪悪感などを深刻に伝えると、父は笑って答えてくれました。

そんなことで悩んでたのか。
全く悩む必要なんてない。
お前の幸せがお父さんとお母さんの幸せなんだから、お前は好きなことをやりなさい。
お父さんとお母さんのために我慢されたらそっちの方がよっぽど不幸だよ。

そんな父の言葉に私は救われました。
そして今、私は希望していた企業に営業として入社、そこで出会った男性と結婚し一児をもうけています。
初孫の誕生に両親も大喜びでした。
私を自由に育ててくれた両親に、少しは恩返しができたかなと思います。

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